えび茶ゾーン

2014年5月19日

第914回


 地域調査をなりわいとする研究者として、早大の学術情報検索システムが、主要な新聞記事のオンライン・データベースを含んでいることは大変ありがたい。実際、このキーワード検索を通じて、興味深い地域事例に行き合ったことも一再ならずある。その一方で、期待外れに終わるケースも少なくない。

 先日、「まちづくり会社」というキーワードで、大手新聞社のデータベースを15年間分検索したときのこと。膨大な記事がヒットしたものの、その多くが大規模な再開発事業など、広い土地や大きな資金が動くハード事業の紹介に偏っており、中には成功を収めたとは言い難い事業も数多く含まれている。他方、時間をかけて地域住民との連携を深め、人の結び付きを生かして優れた成果を挙げているソフト事業を扱った記事は乏しい。「この事業も記事になってないの?」という事例も少なからず存在した。

 そういえば、まちづくりの現場の人から、ソフト事業を評価できるメディアは、特定の地域と長期的な結び付きを持つ地方新聞に多いと教えられたことがある。データベースにも得手不得手があり、その選択を誤ったといえばそれまでの話ではある。その一方で、ともすれば短期的な収益が期待できる、話題性があり知名度が上がる、といったコンテンツにスポットライトが集まり、目立たない努力を重ねて一歩ずつ前進する類いの事業は評価されにくいという風潮はやはり気になる。このことは、まちづくりだけでなく、教育・研究の現場にも当てはまることである。 (K)