えび茶ゾーン

2014年7月7日

第921回

 春学期も折り返し地点を過ぎ、大雨とともに夏の気配が近付いてきた。先日、ニュースで“ぼっち席”なるものが全国の大学の食堂で設置され始めているとの話題を耳にした。仕切られた席で、相席を避けて“独りぼっち”で気兼ねなく食事ができるので、学生に人気とか。これには驚いた。

 私が所属する学科では、毎年4月に、新入生全員を軽井沢セミナーハウスに連れて行き、土日でオリエンテーションを行っている。これから始まる大学生活を有意義に過ごしてもらうために、転ばぬ先のつえということで、修学に関してのみならずさまざまな情報を提供する。これだけであれば、いつもの教室で実施すれば事足りる。はるばるセミナーハウスまで行く必要はない。実際、事前のアンケートでは、日曜日をつぶされる(?)学生たちのおっくうな気持ちが文面から伝わってくる。しかし、本当に期待している目的は、友達づくりである。わずか1泊2日ではあるが、同じ屋根の下で寝食を共にし、スポーツ大会で一緒に汗を流すことの効果は絶大である。学生たちの初日の様子と帰りのバスに乗り込むときの打ち解けた雰囲気の違いを、毎年目の当たりにしてきた。帰路の車中では、これからの大学生活を乗り切っていく自信を得た顔つきになっている。

 大学にはさまざまな価値が転がっている。たまには“ぼっち席”も良いが、わずか数年、されど数年、大学に通い同じキャンパスでかけがえのない時間を仲間と共有する価値にも、気付いてほしいと願う。(SW)