早大生が行く(旧「現場レポート」)

2014年10月6日

  • ▲大隈講堂・東京プレ公演にて

  • ▲野外。 虫の大量発生した世界で部屋に閉じ込められた男女を描く

地域性が新たな演劇を生む・岐阜の野外公演にて


商学部4年 鈴木 りりせ


 私は早稲田大学演劇倶楽部にて「ポーラは嘘をついた」というユニットの脚本・演出を務めています。8月、そのご縁で「早稲田小劇場どらま館起工記念第7回早稲田大学・美濃加茂市文化交流事業」に参加し、岐阜県美濃加茂市にてお芝居を上演させていただきました。

 美濃加茂市は、かのシェークスピアを全訳した坪内逍遙の出身地で、この学生演劇公演の他、さまざまな催しを行っています。なお、本作が上演されたのは野外で、演劇博物館の正面に彫られた一節「全世界は劇場なり」のように、舞台と観客を隔てるものはありません。森の中で観客は役者と同じく物語の脅威にさらされ、逆に役者は演技がうそ偽りだとののしられる可能性にあります。舞台と客席の間は始終虫が行き来し、虚実入り交じってしまう世界を、野外ならではの劇場の力を借りて演出しました。

 制作するにあたって、東京の人の描く幻想的な森のイメージと、実際に地元の生活の中にある森のイメージの差異について考えました。演劇は上演する「場」の持つ地域性や歴史によって、全く違う意味が見いだされ、変化していくものです。来年度、建設されるどらま館は、早稲田を囲む地域と早稲田演劇の歴史を背負いつつ、どんな場を作り出すのでしょうか。新しい劇場としても、これから演劇にどのような変化をもたらすのか楽しみです。