えび茶ゾーン

2015年5月11日

第939回

 

 大学は異文化交流の場。学生同士の交流はもちろんのこと、教員と学生の関係もまた、ある意味、異文化交流そのものといっていい。先日、東日本大震災を特集したあるテレビ番組で、宮城県女川町の復興作業が取り上げられていた。家屋のほぼ9割、1万人以上が被害者となった女川町。震災後「復興連絡協議会」という民間組織を立ち上げ、着々と「町づくり」を進めているという。「海の見える町」にすべく、防潮堤建設という道を取らず、漁業地区、市街地区、住宅地区の3ゾーンに住み分けるという基本構想だ。印象的だったのは、「還暦以上は口を出すな」というスローガン。長期のスパンで町づくりを考えねばならない以上、30代40代を中心にした若者にイニシアチブを取らせようという、まさに還暦を過ぎた人々の英断だった。その結果さまざまなアイデアが生まれ、比較的順調に町づくりが進んでいるという。「還暦以上は口を出すな」の真意は、若者に全てを丸投げするのではなく、若者はアイデア、老人は調整という役割分担に徹するということ。同じことが、学生と教員との関係にもいえないだろうか。教員である自分の年齢が上がれば上がるほど、学生との距離は深まり、「いまどきの学生は」とついつい愚痴の一つを言いたくなるのも事実。しかし、異文化交流こそ大学の魅力であり、活力であるとすれば、アメとムチをいかに使い分けるかが問われよう。今教員に求められているのは、そのような「教師力」なのかもしれない。(YW)