えび茶ゾーン

2015年7月13日

第948回

 

 日経平均株価は2万円を突破したが、株を所有していない私にはピンとこない。政府と日銀は盛んに経済の好調さを喧伝(けんでん)するが、アベノミクスの恩恵に浴しているのは、一部の企業と投資家である。

 

 さて、人生の目的は幸福になることである。幸福を社会的成功に置き換える人は多い。社会的成功資本主義社会では、ともすれば富の獲得に結び付く。勿論、額に汗して創意工夫し、物を作って利益を生み出し、国民一人一人の生活を向上させる「近代資本主義精神」が個人と国家の豊かさに寄与することは、歴史が証明するところである。しかし、金融によって楽をして他人を出し抜き、あるいは踏み台にして個人の利益や快楽のみ追求しようとする人間が増えてくると、国の明るい未来は期待できないであろう。格差が生じることで、共同体意識が薄れ国力は弱まるからである。幸福は他者と共感し、共存する中にある。国や共同体が滅び、個人のみ幸福になることはない。

 

 約100年前に大隈重信は、早稲田大学教旨の中で「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」という3本柱を宣言した。模範国民とは、努力を怠らない良識のある国民と定義できるだろう。この早稲田大学の建学の精神は現代でも全く古びていない。独創の研鑽(けんさん)に努め、時世に即した学理を研究することによって、自ずと教養が高められ、模範国民となれるのである。大学は学びの場である。浮世の喧噪(けんそう)をしばし忘れ、大学生が有する珠玉(しゅぎょく)の時間を最大限に生かし、「学ぶ」という至福を体感してほしい。(Y)