えび茶ゾーン

2015年11月30日

第957回

 

 私の専門分野は惑星科学である。惑星科学の最大の魅力は、非常に単純化したモデルで自然界を理解し、現実に見えていない現象を、物理学を使い大胆に予想してしまうことにある。

 

 私が大学院で研究していた当時、研究室では太陽系形成モデルの構築を行い、木星のような巨大ガス惑星は中心星から離れたところに存在すべきと予想した。しかし、われわれの予想は見事に外れ、1995年にスイスの研究グループによって初めて発見された太陽系外に存在する惑星は、ペガサス座51番星のごく近傍を周回していた。そのときの唯一の惑星系であった太陽系とは異なる惑星系を想像することが、非常に難しかったことが最大の原因であろう。

 

 同様な状況は日常の生活でもよくあることであろう。実際、自分とは異なる価値観を持つ人のことを理解するのは難しい。アメリカの有名な絵本作家であるDr. Seussの書いた『Horton Hears A Who! (ぞうのホートンひとだすけ)』には、小さな埃(ほこり)の上の目には見えない街で暮らす人たちを救う象の活躍が描かれている。この物語は、日本を訪れたDr. Seussが同志社女子大学の中村先生に出会ったことによって生まれたそうである。Dr. Seussは、この物語を通して終戦後の小さな埃のような日本の人々のことを気に掛けるようにと、アメリカ国内の人々に訴えかけたそうだ。

 

 現在の早稲田大学には、世界中からさまざまな価値観を持った学生が集っている。さあ、自分の殻を脱ぎ捨て、新たな価値観を持った友人と出会おうではないか!(S.I.)