えび茶ゾーン

2015年12月7日

第958回

 

 年末になると書店の手帳売り場に活気が出る。最近はいろいろなスタイルがあり、好みの物を探すのも一苦労である。筆者も過去にいろいろ試してみたが、ここ数年はシステム手帳形式で2年間分が閲覧できるものを利用している。それにしても最近は授業、会議、打ち合わせが多く、その上、記憶力が減退しているので手帳は必須のアイテムになっている。

 

 ところで人生を振り返ってみて何歳ごろから手帳を携帯するようになったのだろうか。筆者の場合は中学生になって生徒手帳というものが配布されたあたりから使い始めた記憶がある。少なくとも小学生のときはいちいち手帳にメモした覚えはない。若いころは記録すべき事柄も少ない上記憶力もよかったのだろう。ともかく最近は手帳にいろいろメモしておかないと万事がうまくいかないのが現状である。

 

 かつてプラトンは『パイドロス』の中でソクラテスに文字の発明が人間の記憶力の訓練をなおざりにさせる、と言わせている。このように考えると文字は人間の記憶力を補完する便利な技術ともいえる。

 

 現代人はスケジュール管理をはじめ記録すべき内容が増えてきている。文字だけでなくさまざまな技術を用いて記憶を外在化できるようになってきた。現に旅に行けば風景をスマホで撮影し、レストランに行けば料理を食べる前に写メをする。なんでもかんでも記録しないと気が済まなくなった。自分自身で記憶する。自分の目に焼き付けることが少なくなっているのではないか。年末年始、たまには手帳も使わず写メもせず自分の五感だけに頼って過ごしてみてはいかがか。(MT)