えび茶ゾーン

2015年12月14日

第959回

 

 この小文は、グループ学習の成果を披露してくれた2人の生徒へのお礼状のつもりでしたためている
 

 2人は多文化共生の事例研究として東京にあるモスク「東京ジャーミー」を訪れ、そこで取材したことに基づく考察を語ってくれた。イスラム教は人を大切にし、帰依する人は出身地を問わず広く受け入れる宗教であること、1日5回の礼拝は信者の生活のリズムになっていることなどが報告された。考察はままだ深まるだろうが、他者へ素直に開かれた心を感じられる、好感の持てる発表だった。
 

 筆者の所属箇所には少人数ながら毎年ムスリムの高校生が訪ねてくれる。彼らのおかげで、イスラム教徒の同世代の迎え方が生徒・学生の間に少しでも共有されていることが筆者のささやかな誇りだ。校舎内の小さな「面談室」は、ゲストの滞在中は「祈祷(きとう)室」になる。食事のお世話をするときはHalal foodの対応をすることにも生徒はなじんでいる。
 

 この夏、協働学習プログラムの懇談のためにインドネシアの交流校を訪問した。近隣にあるプランバナン寺院群を訪れたときのこと。ヒンズー教の物語のレリーフで埋まった寺院群が夕日を背にして並ぶ光景に魅入られていたときに、イスラムの祈祷「アザーン」が聞こえてきた。しかも案内してくれた交流校の先生はキリスト教徒。日本にいては分からない、多文化の豊穣と底知れない葛藤の存在にわずかでも触れた気がして、空恐ろしい気持ちになった。
 

 発表してくれたおふたりへ。今度ムスリムの仲間が来るときはお誘いします。ぜひ一緒に語りあいましょう。(M)