先輩に乾杯

2016年3月24日

  • ▲メルセデス・ベンツ日本社長 上野金太郎(うえの きんたろう)

  • ▲待望のSUVモデル「GLC」の発表会でフォトセッション中の上野さん

自分の立ち位置を理解できれば、

新人でもきっとチャンスはある!

 

メルセデス・ベンツ日本社長

上野金太郎(うえの きんたろう)

 

いつかは乗ってみたい憧れの高級車、メルセデス・ベンツ。その日本法人で「歴代初の日本人社長」として活躍するのが上野金太郎さんだ。同社の新卒1期生でもある上野さんだが、当初、採用予定はなかったという。それでも入社を果たし、組織の中で結果を残し続けることができた秘訣(ひけつ)はどこにあったのだろうか?

 

 

まずは手を動かしてみる。

そして、経験を次に生かす

 

 意外にも就職活動ではなかなか結果に恵まれず、面接の日々だったという上野さん。そんなある日の面接後、隣のビルに日本に進出したばかりのメルセデス・ベンツ日本法人があるのを発見した。

 

「子どもの頃から車好きで、学生時代はレーシングカートに夢中でした。だから、何かピンと来るものがあって、直感的に飛び込んでいたんです。すると、新卒採用はないという話なのに、なぜか人事の方が対応してくれて、次の日にはもう役員面接。内定式などもなく、本当に入社できるのかと4月まで不安でした(笑)」。

 

 自分自身の「飛び込み営業」をきっかけに入社を果たした上野さん。最初の配属先は営業部だった。

 

「営業といっても当時は人数が少なかったこともあって、発注・輸入・検品・出荷と何でもやりました。会社の創生期だったためマニュアルもありません。伝票は手書き、計算は電卓の時代。少しでも効率的に回せるよう、改善できるところはどんどん変えていきました」。

 

 自ら考え、実践し、ひたすらノートに記録し、振り返る。その地道な繰り返しが業績の向上にも結びついていった。

 

「よく、新人は使いものにならない、なんてことを言う人がいます。でも、私はそうは思いません。どんな人にもその実力に応じた役割があり、チャンスがある。愚痴や不満で口を動かす前に、まずは手を動かしてみる。そして、学んだ経験を次に生かすことが大事だと思います」。

 

 

ここぞという場面で強いのは

自分の軸がしっかりある人間

 

 社長として世界を飛び回り、テレビCMにアニメを使用するなど、常に新しい挑戦を続ける上野さん。組織のトップに立っても、毎日が勉強の日々だという。

 

「だから、学生の頃にもっとしっかり勉強しておけば良かったなぁと後悔しています(笑)。内定者からよく、『社会に出るまでにやっておくべきことは?』と質問されるのですが、やっぱり、『勉強しましょう!』と言いたい。それは『見聞を広める』という表現かもしれません。社会に出るということは、お金を払って大学に通う学生から、会社からお金をもらう社会人へ、180度立場が変わることを意味します。大学時代は、そのギャップをつなぐための『橋』として無駄にしないようにした方がいいですね」。

 

 そしてもう一つ、学生時代から意識しておくべきことがあるという。

 

「会社も社会も、個人競技ではありません。だからこそ、コミュニティーの中で自分がどんな立ち位置にいるのかを、きちんと理解できる人間になってほしい。それを見定められる人は信頼されますし、自分の軸がしっかりしているから、ここぞという場面で強いと思います」。

 

 同様に、ずっと変わらない軸があることが早稲田大学の魅力、と語った。

「昔と比べると、早稲田も都会的でインターナショナルになりました。でも、アットホームなところは変わりません。今でも学生時代の友人とはバカ騒ぎができます。早稲田を旅立つ皆さんも、そんな仲間を一生大切にしてほしいですね」。

 

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1964年生まれ。1987年、早稲田大学社会科学部を卒業後、メルセデス・ベンツ日本株式会社に入社。営業部、広報部、社長室などの部署を歴任し、2003年、38歳にして同社常務取締役に。2012年、代表取締役社長に就任。以降、同社は新車販売台数過去最高記録を更新し続けている。