ぴーぷる

2013年7月4日

  • ▲国際情報通信研究科修士課程2年 齋藤 弘明

  • ▲互いの感性を刺激し合い、良質な作品を生み出していくGLEY-ZONE」の仲間と。齋藤さんは最前列、左から2番目

  • ▲第11回JCF学生映画祭で表彰を受けた齋藤さんによる挨拶。JCF学生映画祭は学生映画の甲子園といわれている

  • ▲グランプリ作品『波紋』

  • ▲国際連合・国際移住機関が主催する映像コンペティション「PLURAL+Youth Video Festival」にて

第569回

2年連続JCF学生映画祭グランプリ!
劇場映画監督デビューを目指して


国際情報通信研究科修士課程2年

齋藤 弘明 (さいとう ひろあき)


 
 多くの映画関係者を輩出する“早稲田映画界”に期待の新星が現れた。修士課程2年の齋藤さんが、1999(平成11)年から続くJCF学生映画祭のグランプリを昨年、一昨年と連続で獲得。この史上初の快挙のほかにも、国連が主催する映像コンペで入選を果たすなど、目覚ましい活躍を見せている。ひょうひょうとした語り口が特徴の齋藤さんだが、その言葉の端々に映画監督ならではの鋭い洞察力がうかがえる。

 そんな彼の最新作は、第11回JCF学生映画祭で応募総数247作品の頂点に輝いた『波紋』。生活保護をテーマに、知的障がいを持つ妹と、彼女の面倒を見る兄の日常を描いた12分の短編映画だ。齋藤さんが脚本を書き下ろし、監督・撮影・編集までを一人でこなした。「この作品は、実際の事件をベースにしています。生活保護による支援を必要とする姉妹が、その受給許可を得られずに、命を落としてしまったという痛ましい事件です。生活保護を不正受給する人がいる一方で、このような現実があることを知ってもらいたかった」と、作品に込めた思いを話す。

 今回、社会派の作品で評価を得た齋藤さんだが、実は前年度の同映画祭グランプリ作品『HOLDUP』は、娯楽要素をふんだんに取り入れたバイオレンスアクションだ。このように齋藤さんは、一つのジャンルに偏ることなく、その時々の関心事を丹念に掘り下げ、テーマに沿った演出を考える。つまり、自由で柔軟な作風こそが齋藤さんのスタイルだとも言える。

 若くして自らのスタイルを確立しつつある齋藤さんだが、映画作りを始めたのは意外にも早稲田大学の教育学部に入学してからのこと。もともと、高校生のころに巨匠・深作欣二監督『バトル・ロワイヤル』のメイキング映像を見て、映画制作の現場に興味を持った。「物語を作ったり、小説のパロディを書いたりして遊ぶのが好きな子どもでしたね。ずっと映画にも興味を持っていましたが、自分で作る環境が整っていなかったので、高校時代は演劇部で芝居に打ち込んでいました」。その後、映画への憧憬を抱きながら大学進学を果たすと、自主映画制作サークルに所属し、仲間と共に映画作りに没頭する。早稲田には映画関連の授業が多数あり、脚本の書き方など、参考になることも多かった。

 将来の夢を聞かれ、「いつか劇場映画を撮りたい」と即答する齋藤さん。学部時代から自主映画のコンペティションに応募し続けているのも、そこで評価されることがプロへの近道だと考えているからだ。また、賞という目に見える形で結果を残すことが、いつも協力してくれる出演者やスタッフへの最大の恩返しにもなる。「映画って、観ているときは楽しくて、終わった後、心の中に何かが残るようなものが理想だと思っているので、将来は“社会派エンタメ”的な映画にチャレンジしたいです」と、すでに明確なビジョンを描いている。

 次回作は、領土問題を扱った作品を構想中とのこと。作品の出来はもちろんのこと、今後の齋藤さんのさらなる活躍を心より期待したい。
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■さいとう・ひろあき  千葉県出身。千葉県立安房高等学校卒業。自主映画を制作する公認サークル「GLEY-ZONE」所属。教育学部を卒業後、修士課程へ。JCF学生映画祭で史上初の2年連続グランプリを受賞。好きな映画監督はタランティーノ。