えび茶ゾーン

2013年11月18日

第903回

 放射線被曝や交通機関の事故、化学物質による汚染、地球温暖化の影響など科学技術と関連するリスクは毎日多くのメディアで話題になっている。人間は自然に関して予測し制御する力をある程度持つようになったとはいえ、科学技術と自然の複雑なシステムにはさまざまな予測不可能性があり、それがリスクを生んでいるのだ。現代社会はこの複雑なシステムを内在するからこそ「リスク社会」と呼ばれる。

 リスクは、知識の不十分さや、確率的事象であることなどの故に理解が難しい。例えば年間100mSv未満の低線量被曝のリスクに関してはいろいろな議論がある。さらに複数のリスクを比較することも難しい。例えば飛行機事故と自動車事故のリスクを比較する場合、全人口当たりの死亡者数を比較するか、移動距離数当たりで比較するか、移動時間当たりで比較するか、乗車・搭乗回数あたりで比較するかによって結果は異なる。

 それでもあえて全人口に対する死亡者数という指標で現代日本の科学技術に関する社会的問題のリスクを比較するとどうなるか。

 廣野喜幸『サイエンティフィック・リテラシー』(丸善出版、2013)によると、上位を占めるのはインフルエンザによる超過死亡(インフルエンザが間接的死因となる死亡も含む)リスク(168 ~614ppm)、医療ミスによる死亡リスク(167 ~250ppm)、自動車事故の死亡リスク(50 ~230ppm)の三者だという。

 読者は医療ミスによる死亡リスクの高さに驚かれるのではないだろうか。ただしこの値は推定値である。医療ミスに関する詳しい実態解明が求められる。 (K)